株式投資の中でも、特にリスクの高い「信用二階建て」。今回はこの取引方法に関するリスクや活用方法について、自身の体験を基に記事にしてみました。
株式投資を始めたばかりの人にも、慣れてきてちょっとリスクの高い取引に挑戦してみたいと考えている人にも、役に立つ記事になっていると思います。
僕は、株式投資5年目くらいからリスクが高い信用取引を始めました。徐々に慣れてきて、自分の事を少し投資が上手くなったと勘違いし、許容範囲以上のリスクをとり、大きく損しました。その経験から得た教訓をちょっとでも皆さんにお伝えできればと思っています。
現物取引と信用取引
初めに株式投資の種類を説明していきます。
株式投資には、現物取引と信用取引があります。
現物取引は、自己資金の範囲で行う取引のことです。
すなわち、100万円持っている人は100万円までの株式は買えますが、300万円の株式は買えません。
そのため、100万円の株式の価値が0円になってもあなたは100万円失うだけで、それ以上の損失はありません。
一方、信用取引では自己資金の3倍程度の金額まで取引できます。
すなわち、100万円持っている人は200万円の借金をして300万円の株式を買うことができます。
そのため、300万円の株式の価値が0円になると、200万円の借金は返済しなければなりません。
信用取引は、自己資金以上の株式を買えるため、効率的に資産を増加させることはできる一方、予想外の株価変動により自己資金以上の損失を出す可能性もあります。
信用二階建てとは?
信用取引の中でもさらにリスクの高い取引が「信用二階建て」です。
信用取引は、先述の通り自己資金の約3倍の金額まで株を買うことができますが、その自己資金は現金以外にも保有株の評価額から算出されます。
すなわち、保有している株式の評価額を担保にして、信用取引をすることもできるということです。
そして、信用二階建てとは、ある現物株を担保にし、同じ銘柄を信用取引を使って追加で購入することを言います。
具体的な流れは以下の通りです。
- 現物取引:自己資金で現物株を購入する。
- 信用取引:現物取引で購入した株を担保に同じ銘柄を追加購入する。
例えば、A社について現物取引で100万円分購入し、さらに信用取引で200万円購入したとします。(信用取引で購入できる額は証券会社によって異なる場合があります)
A社の株価上昇に相当自信があり、実際に上昇したのであれば、現物取引だけを使用した時に比べて3倍近く一気に資産を増やせます!
一方、A社の株価が下落した場合は、担保にしている現物株の評価額は減り、信用取引は損失を出すため、追加証拠金が必要になる可能性が大いにあります。
すなわち、新たに現金を証券口座に入金するか、損切りして損失を確定させるかの2択しか選択肢がない状況になり、現物取引みたいに下落時に持ち続けるという選択肢はなくなります。
そのため、「信用二階建て」をする場合、事前に相当な情報収集を行い、株価の上昇や下落に対して相当自信を持てる場合でなければ、基本的にする必要はありません。
リスクが高すぎるためです!
基本的には、株式投資の成績が生活に直結する専業投資家、もしくはお金がありすぎて困ってしまっているような大富豪の人以外は、おすすめしない投資方法です。
信用二階建てのリスク
ここまで説明した通り、大きなリスクがある信用二階建てです。
具体的に想定されるリスクは、以下2つになります。
株価下落時の損失拡大
信用取引を使って、同じ銘柄を大量に購入しているため、予想に反して株価が下がると損失も何倍にも膨れ上がります。
その場合は、証券口座に追加で入金が必要になる、いわゆる「追証(おいしょう)」が発生します。
入金するお金がない場合は、損切りする必要があるため、損失が確定します。
たとえその銘柄が下落後に上昇に転じても、その恩恵は一切受けらないというわけです。
信用取引の金利負担
信用取引は、基本的には借金して株を購入しているため、金利が発生します。
長く保有し続ければ、それだけ金利負担も増えていきます。
すなわち、長期投資には向かない投資であるので、上昇するタイミングで一気に購入するといった投資スタイルの人以外は、費用だけが増加して、利益は増えないという状況に陥る可能性が高いです。
信用二階建てのメリット
信用二階建てのリスクを理解したうえで、どうしても信用二階建てをやりたい人のために、そのメリットを解説します。
しかし、何回も説明している通り、信用二階建ては相当リスクが高いので、なるべく行わないようにしましょう!
具体的なメリットは、以下2つになります。
少ない資金で利益拡大
少ない資金で同一銘柄を大量に購入できるため、その銘柄が予想通りに上昇した場合、その利益も何倍にもなります。
上手くいけば、短期間で一気に資金を増やすことができ、その利益で次の投資の選択肢が広ります。
配当金の額も増加
信用取引で購入した株についても、配当に相当する金額がもらえます。
すなわち、配当の権利確定日まで保有し続けていれば、現物株と信用取引で購入した分の両方に対して配当がもらえます。
ただし、信用取引の場合は、配当金額から税金分(約2割)が引かれた額になるため、自己資金がある方は現物株で保有していた方がよいでしょう。
信用二階建ての活用戦略
信用二階建てについて、リスクとリターンを説明してきましたが、基本的にはリスク管理を徹底できない人は絶対にやるべきではありません。
また、仮にリスク管理を徹底し、リスク許容度が高い人であっても、以下のような工夫をできない人はやめましょう。
信用二階建てをしても特に問題ない人は、以下の点を注意して、リスクを抑えながら活用していきましょう。
高配当銘柄の購入
現物取引に加え、信用取引で高配当銘柄を購入することで、多額の配当金をもらえます。
ただし、権利確定日を過ぎてからの株価の急落などにきちんと対処できる人のみ、やってみることをおすすめします。
上手く取引できる人は、少ない資金で配当金をたくさんもらいつつ、さらに売買益も手にすることができます。
レバレッジを抑える
フルレバレッジ(最大限である約3倍の信用枠を使う)のではなく、1.2~1.5倍程度に抑えることで、リスクを抑えることもできます。
それでも、借金をして株式投資をしていることを意識し、想定外の株価変動にはすばやく対処できるようしておきましょう。
相場環境を見極める
信用二階建ては、株を購入するタイミングがかなり重要になります。
保有する時間が増えれば増えるほど金利負担も上昇し、利益に与える影響も増大していきます。
お目当ての銘柄の株価変動のくせなどをしっかり確認し、投資判断は慎重に行いましょう。
まとめ:信用取引はリスク管理できる人だけ利用しよう
信用二階建ては、少ない資金で利益を拡大させる手法で、上手くいけば短期で利益を増やすことができます。
一方、リスクも大きく、場合によっては、自己資金がゼロになり、投資が継続できず、相場から退場させられます。
相場から退場させられた場合、それ以降の上昇相場の恩恵を一切受けられなくなり、リベンジできる権利すら失ってしまいます。
従って、どうしても信用二階建てしてみたいという人(ほとんどいないことを願っています笑)は、徹底的にリスク管理をし、
特に以下の点を意識して取引しましょう。
- リスク管理を徹底する。(損切りする株価を事前に決め、そのルールを守る)
- フルレバレッジを避け、適切な範囲(一例として1.2~1.5倍など)で活用する。
株価の動きなんて誰も分からないので、信用二階建てといったハイリスクな取引を避け、愚直に長期・積立・分散投資の継続で問題ないと思いますよ!